「いつか、世界のどこかで苦しんでいる人たちのために、自分の看護スキルを役立てたい。」
看護師になったときから、心の奥底にそんな想いを抱いている人は少なくないはずです。私もその一人でした。そして数年前、ついに**国境なき医師団（MSF）**の一員として、その夢を実現することができました。
この記事では、私の友人の経験も踏まえながら、MSFで看護師として活動するために必要な情報、特に英語力と、私が考える一番大切なことについて、徹底的に解説します。MSFへの参加を考えている看護師の皆さん、ぜひ最後まで読んでみてください。
国境なき医師団の看護師になるには？ 必須の英語力と、それ以上に大切なもの
国境なき医師団とは？活動内容と看護師の役割
MSFは、ご存知の通り、独立・中立・公平な立場で医療・人道援助を行う国際的なNGOです。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで、緊急性の高い医療ニーズに対応しています。
看護師の役割は本当に多岐にわたります。患者さんのケアはもちろん、バイタルサイン測定、投薬、手術の補助、創傷処置、感染症対策、地域住民への健康教育、医療チームのサポート、物資管理…。まさに、「何でも屋さん」です。
私の友人の派遣先では、医師の数が限られていたため、看護師が患者さんの状態を判断し、トリアージ（緊急度に応じて治療の優先順位を決めること）を行うこともありました。責任は重大ですが、それだけやりがいも大きかったです。
看護師として応募するための必須条件
MSFの看護師として応募するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 看護師免許： 日本または海外の看護師免許が必要です。
- 臨床経験： 原則として、2年以上の臨床経験が求められます。
- 語学力： 英語は必須です。フランス語やその他の言語ができると有利です。
- 適応力、柔軟性： 異なる文化や環境に適応できる能力が求められます。
- 体力、精神力： 厳しい環境下での活動に耐えうる体力と精神力が必要です。
- チームワーク： 多国籍のチームメンバーと協力して活動できる能力が求められます。
これらの条件の中で、特に気になるのが「語学力」ではないでしょうか。
英語力はどのくらい必要？TOEICの目安は？
MSFでの活動には、高い英語力が求められるのは事実です。多国籍の医療チームとのコミュニケーション、患者さんとの問診、医療記録の作成など、あらゆる場面で英語を使用します。
TOEICのスコアで言うと、730点以上は欲しいところです。でも、TOEICの点数が高いからといって、MSFで活躍できるとは限りません！
友人が実際に活動して感じたのは、「コミュニケーション能力」の重要性です。
- 医療英語：医療用語、病歴聴取、症状説明など、医療現場で必要な英語は必須です。
- コミュニケーション能力：異なる文化背景を持つ人々と円滑にコミュニケーションできる能力が求められます。
- リスニング力：様々なアクセントの英語を聞き取れるリスニング力が必要です。
- スピーキング力：自分の意見を明確に伝えられるスピーキング力が必要です。
文法が多少間違っていても、発音が完璧でなくても、「伝えよう」「理解しよう」という気持ちがあれば、コミュニケーションは必ず成立します。
英語学習のポイント
- 医療英語の専門書を活用する：医療用語、病歴聴取、症状説明など、医療現場で必要な英語を体系的に学習しましょう。
- オンライン英会話で実践練習：医療関係者と英語で会話する機会を作り、実践的なコミュニケーション能力を磨きましょう。
- 英語の医療ニュースや論文を読む：最新の医療情報を英語で収集し、語彙力と読解力を高めましょう。
- 海外の医療ドラマや映画を見る：医療現場の雰囲気を掴み、リスニング力を鍛えましょう。
フランス語やその他の言語は必要？
英語に加えて、フランス語ができると、活動の幅が広がります。MSFはフランスで設立された団体であり、フランス語圏の活動地域も多いためです。
アラビア語、スペイン語、ポルトガル語なども、活動地域によっては役立ちます。
私は、英語しか話せませんでしたが、特に不自由を感じることはありませんでした。
選考プロセスと面接対策
MSFの選考プロセスは、以下の通りです。
- 書類選考：履歴書、職務経歴書、志望動機などを提出します。
- 一次面接：オンラインまたは対面で、英語による面接が行われます。
- 二次面接：専門分野に関する面接、適性検査などが行われます。
- 健康診断：健康状態を確認するための健康診断を受けます。
- トレーニング：派遣前のトレーニングに参加します。
面接では、以下の点を重視してアピールしてみましょう。
- 自己分析：自分の強み、弱み、経験、スキルなどを分析し、面接で効果的にアピールできるように準備しましょう。
- 志望動機：なぜMSFで働きたいのか、具体的な理由を明確に説明できるようにしましょう。
- 経験談：過去の経験から得られた教訓、困難を乗り越えた経験などを具体的に説明できるようにしましょう。
- 英語でのコミュニケーション：英語での自己紹介、志望動機、経験談などをスムーズに話せるように練習しましょう。
想定質問への回答を準備しておくことも大切です。
- 自己紹介をお願いします。
- なぜ国境なき医師団で働きたいのですか？
- これまでの経験で、最も困難だったことは何ですか？
- どのようなスキルや経験が、国境なき医師団で役に立つと思いますか？
- チームワークをどのように考えていますか？
- ストレスをどのように解消しますか？
- 派遣期間中に、どのような問題が起こる可能性があると思いますか？
- そのような問題が起こった場合、どのように対処しますか？
- 英語でのコミュニケーションに自信はありますか？
- 海外での生活経験はありますか？
- 家族の理解は得られていますか？
国境なき医師団の看護師の給料・待遇と、お金では買えない価値
国境なき医師団（MSF）の気になる給料は？
MSFの給料は、経験、スキル、派遣期間、活動地域などによって異なります。
具体的な金額は公表されていませんが、一般的な国際NGOと比較して、同等程度の給料が支給されると考えられます。
正直に言うと、**給料は決して高くありません。**日本で看護師として働く方が、ずっと稼げるでしょう。
しかし、MSFで得られる経験は、お金では決して買えません。
給与以外の待遇
- 住居：派遣期間中は、MSFが用意した住居に滞在します。
- 食事：食事は、自己負担またはMSFが提供する場合があります。
- 医療保険：派遣期間中は、医療保険に加入できます。
- 渡航費：渡航費は、MSFが負担します。
- 休暇：派遣期間に応じて、休暇を取得できます。
派遣期間と勤務体制
派遣期間は、通常6ヶ月から12ヶ月程度です。
勤務体制は、活動地域やプロジェクトによって異なります。
シフト制で24時間体制で患者さんのケアを行うこともあれば、日勤のみの場合もあります。
派遣中の生活環境
派遣中の生活環境は、活動地域によって大きく異なります。
都市部であれば、比較的安全で、生活に必要な物資を手に入れやすい場合があります。しかし、地方では、治安が悪く、生活に必要な物資を手に入れにくい場合もあります。
MSFは、派遣されるスタッフの安全を確保するために、様々な安全対策を講じています。
国境なき医師団で働くことのやりがいとキャリア
MSFで働くことは、非常にやりがいのある経験です。
- 医療を必要とする人々に直接貢献できる
- 自分のスキルや知識を最大限に活かせる
- 多国籍のチームメンバーと協力して活動できる
- 困難な状況を乗り越えることで、成長できる
- 世界をより良くするために貢献できる
MSFでの経験は、その後のキャリアにも大きく役立ちます。
- 国際的な視野が広がる
- 異文化理解が深まる
- 語学力が向上する
- 問題解決能力が高まる
- リーダーシップが身につく
私自身、MSFでの経験を通して、**「看護師」**としてのあり方を深く考えさせられました。日本に帰国後も、MSFでの経験を活かし、より患者さんに寄り添った看護を実践しています。
応募前に知っておくべきこと
MSFへの応募を検討する前に、以下の点について理解しておく必要があります。
- 活動のリスク：紛争地や災害地での活動は、危険を伴う場合があります。
- 精神的な負担：患者さんの苦しみや悲しみに直面することで、精神的な負担を感じる場合があります。
- 家族の理解：長期間の派遣は、家族に負担をかける場合があります。
これらのリスクを理解した上で、それでも**「誰かのために、自分の力を役立てたい」**という強い想いがあるなら、ぜひMSFに挑戦してみてください。
まとめ：国境なき医師団への挑戦
MSFで働くことは、決して簡単な道ではありません。しかし、医療を必要とする人々に手を差し伸べたいという強い想いがあれば、必ず乗り越えられるはずです。
英語力は大切ですが、それ以上に大切なのは、あなたの「熱意」と「覚悟」です。
この記事が、あなたの挑戦を応援する一助となれば幸いです。
さあ、あなたも国境なき医師団の一員として、世界をより良くするために貢献しませんか？
追伸：
MSFでの活動は、人生を変える経験になります。大変なこともたくさんありますが、それ以上に得られるものが大きいです。もし、少しでも興味があるなら、ぜひMSFのウェブサイトをチェックしてみてください。そして、勇気を出して、一歩踏み出してみてください。応援しています！
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