はじめに
インターネット上で様々な情報が飛び交う現代において、NPO法人の活動に対して「怪しい」という疑問を持つ方も少なくありません。
特に寄付を募る団体については、その透明性や信頼性が常に問われるものです。今回は、カンボジアやウガンダなどで地雷撤去や元子ども兵の社会復帰支援などの活動を行っている「認定NPO法人テラ・ルネッサンス」について、その活動内容や評判、そして代表である鬼丸昌也氏についても詳しく掘り下げていきます。
この記事では、テラ・ルネッサンスが本当に信頼できる団体なのか、その活動は実際にどのような成果を上げているのか、また寄付金はどのように使われているのかなど、様々な角度から検証していきます。
テラ・ルネッサンスとは

画像引用元:認定NPO法人テラ・ルネッサンス
設立の経緯と理念
テラ・ルネッサンスは2001年、当時大学生だった鬼丸昌也氏によって設立されました。鬼丸氏がカンボジアを訪れた際、地雷被害の現状に衝撃を受け、「地雷のない世界をつくりたい」という思いから活動を開始しました。「テラ・ルネッサンス」という名称は、ラテン語で「地球の再生」を意味し、戦争や紛争で傷ついた地域の再生と平和な社会の構築を目指す理念が込められています。
2005年にNPO法人格を取得し、2010年には認定NPO法人となりました。認定NPO法人とは、一定の基準を満たし、所轄庁(都道府県または政令指定都市)から認定を受けたNPO法人のことで、寄付者に対する税制優遇措置が適用される団体です。この認定を受けることは、公益性や運営の透明性が高いことの証明でもあります。
主な活動内容
テラ・ルネッサンスの活動は多岐にわたりますが、主に以下の3つの柱があります:
- 地雷撤去支援活動:カンボジアを中心に、地雷撤去活動の支援や地雷被害者への支援を行っています。
- 元子ども兵社会復帰支援:ウガンダやコンゴ民主共和国で、紛争に巻き込まれた子どもたちの教育や職業訓練を通じた社会復帰支援を行っています。
- 平和教育活動:日本国内で、国際協力や平和構築の重要性について伝える講演会やワークショップを実施しています。
また、2011年の東日本大震災後には国内での災害復興支援活動も開始し、近年では難民支援や環境保全活動なども手がけるようになりました。
テラ・ルネッサンスの評判と成果

画像引用元:テラルネッサンスのインスタグラム
活動の成果と評価
テラ・ルネッサンスは設立から20年以上にわたり、地道な活動を続けてきました。その成果としては:
- カンボジアでの地雷撤去活動支援により、多くの村が地雷の脅威から解放されました。
- ウガンダでは数百名の元子ども兵に職業訓練を提供し、自立を支援してきました。
- ラオスでは不発弾処理の支援や被害者支援を行っています。
- 日本国内では年間100回以上の講演会を実施し、国際問題への理解を広げています。
これらの活動は、日本国内外で高く評価されており、以下のような受賞歴もあります:
- 2008年:「日経社会貢献賞」
- 2015年:「第10回キャピタル国際交流基金賞」
- 2019年:「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部による『ジャパンSDGsアワード』特別賞」
透明性への取り組み
NPO法人に対する「怪しい」という疑問の多くは、寄付金の使途に関する透明性の問題から生じます。テラ・ルネッサンスでは以下のような取り組みで透明性を確保しています:
- 毎年の事業報告書や決算報告書をウェブサイト上で公開
- 外部の専門家による会計監査の実施
- 定期的なニュースレターやSNSでの活動報告
- 支援者向けの報告会の開催
特に財務情報については、収入の内訳や支出の詳細を明確に公開しており、寄付金がどのように使われているかを確認することができます。2022年度の決算報告によれば、全収入のうち約70%が事業費として現地の支援活動に使われており、管理費は約30%となっています。この比率は国際的なNGOの基準から見ても適正な範囲内と言えるでしょう。
支援者や現地からの声
テラ・ルネッサンスの活動に対する支援者や現地の声も、評価を判断する重要な要素です。継続的な寄付者からは「定期的な報告が丁寧で信頼できる」「少額の寄付でも温かく受け入れてくれる」といった感想が寄せられています。
また、支援を受けた現地の人々からも、「テラ・ルネッサンスのおかげで新しい人生を歩み始めることができた」「子どもたちが安心して学校に通えるようになった」など、ポジティブな声が多く聞かれます。
代表・鬼丸昌也について

画像引用元:鬼丸昌也氏のホームページ
鬼丸昌也氏の経歴
鬼丸昌也氏は1979年生まれの福岡県出身です。立命館大学在学中の2001年、カンボジア訪問をきっかけにテラ・ルネッサンスの前身となる学生団体を立ち上げました。大学卒業後も活動を継続し、NPO法人化を経て、現在まで代表を務めています。
鬼丸氏は国内外での講演活動も精力的に行っており、これまでに1000回以上の講演を実施。2012年には著書「僕は、地雷を撤去する。元少年兵に未来を」(小学館)を出版し、自身の活動への思いや現場での経験を綴っています。また、2015年に秋篠宮殿下御臨席のもと行われた「第22回ソロプチミスト日本財団チャリティーコンサート」では基調講演を行うなど、その活動は皇室からも注目されています。
鬼丸氏の人物像と評判
鬼丸氏は、その真摯な人柄と行動力で多くの支持者を集めています。講演やメディア出演では、現場での経験に基づいた説得力のある言葉で、国際問題の現状と支援の必要性を訴えかけています。
メディアにおける鬼丸氏の評価も概ね高く、日本経済新聞や朝日新聞など各種メディアでも取り上げられています。2019年にはForbesJAPANの「日本を変える30歳未満30人」にも選出されました(選出当時は30歳を超えていましたが、活動開始時の年齢が評価されました)。
また、国連機関や国際NGOとの協力関係も構築しており、国際的な場での発言機会も増えています。2018年には国連本部での地雷対策に関する会議にも参加しています。
テラ・ルネッサンスへの寄付について

寄付の種類と使途
テラ・ルネッサンスでは、様々な形での寄付を受け付けています:
- マンスリーサポーター:毎月定額の寄付を行うプログラム
- 一般寄付:単発での寄付
- 特定プロジェクト支援:地雷撤去や子ども兵支援など特定の活動への寄付
- 遺贈寄付:遺言による寄付
これらの寄付金は、支援活動の実施費用、現地スタッフの人件費、啓発活動費用などに使われています。テラ・ルネッサンスでは、寄付者が希望すれば使途を指定することも可能です。
また、認定NPO法人であるため、個人が寄付をした場合は所得税の寄付金控除が受けられます。法人の場合も、損金算入限度額の拡大などの税制優遇があります。
寄付することのメリット
テラ・ルネッサンスに寄付をすることで、以下のようなメリットがあります:
- 直接的な国際貢献:遠い国の問題でも、自分の寄付が確実に支援につながります。
- 定期的な活動報告:どのように寄付が使われているか、定期的に報告を受けることができます。
- 税制優遇:認定NPO法人への寄付は税制優遇の対象となります。
- 社会的課題への参加:直接現地に行けなくても、国際的な課題解決に参加できます。
個人的な見解:テラ・ルネッサンスへの寄付をおすすめする理由
私は、テラ・ルネッサンスへの寄付を強くおすすめします。その理由はいくつかあります。
まず、テラ・ルネッサンスの活動は「即効性」と「持続性」のバランスが取れています。地雷撤去のような即効性のある支援と、教育や職業訓練のような長期的な視点での支援を両立させている点は高く評価できます。
また、多くのNPOが抱える課題の一つに「成果の見えにくさ」がありますが、テラ・ルネッサンスでは定期的な報告会や詳細な活動レポートを通じて、寄付がどのように使われ、どんな変化を生み出しているかを明確に伝えています。これは寄付者として非常に重要なポイントです。
さらに、代表の鬼丸氏自身が定期的に現地に足を運び、支援対象者と直接対話しながら活動を進めている姿勢は、支援の質を保つ上で重要な要素です。「遠くの誰かのために」という漠然とした支援ではなく、一人ひとりの顔が見える支援を心がけている点に共感します。
国際協力の分野では様々な団体が活動していますが、20年以上にわたり地道に活動を続け、着実に成果を上げてきたテラ・ルネッサンスは、寄付先として信頼できる選択肢の一つだと考えています。
テラ・ルネッサンスに関する疑問や批判
「怪しい」という声について
インターネット上では、時折「テラ・ルネッサンスは怪しい」といった声も見られます。これらの声の多くは、以下のような疑問から生じているようです:
- 寄付金の使途に関する疑問:「本当に現地に届いているのか」という疑問
- 成果の見えにくさ:「実際にどんな成果が出ているのか分かりにくい」という声
- 代表の露出が多い:「代表が目立ちすぎている」という批判
これらの疑問に対して、テラ・ルネッサンスでは財務情報の公開や、現地からの定期的な報告、第三者評価の導入などで対応しています。情報公開の姿勢は、NPO法人の中でも特に積極的な部類に入ると言えるでしょう。
批判的な意見への回答
一部では「平和教育や講演活動に重点が置かれすぎている」という意見もあります。確かに鬼丸氏の講演活動は活発ですが、これは日本国内での認知度向上と資金調達のための重要な活動です。現地での支援活動を継続するためには国内での理解者を増やすことが不可欠であり、バランスの取れた活動だと考えられます。
また、「大規模なNGOではないので支援の規模が小さい」という指摘もありますが、むしろ小回りが利く組織だからこそ、現地のニーズに合わせた柔軟な支援が可能になっている側面もあります。
テラ・ルネッサンスと他のNPO法人との比較

国際協力NGOとしての位置づけ
日本には国際協力を行うNGO・NPOが数百団体存在します。その中でテラ・ルネッサンスは中規模の団体に位置づけられます。年間予算は約2億円程度で、日本を代表する国際協力NGOである「ジャパン・プラットフォーム」や「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」などと比べると小規模ですが、地域に根差した活動を行う団体としては安定した運営基盤を持っています。
他団体との連携
テラ・ルネッサンスの特徴として、単独での活動だけでなく他団体との積極的な連携が挙げられます。例えば:
- カンボジアでの地雷撤去活動では、現地NGOの「カンボジア地雷対策センター」と連携
- ウガンダでの元子ども兵支援では、現地NGOと共同でプロジェクトを実施
- 日本国内では「NGOネットワーク for Education」に参加し、教育支援団体との情報共有を行っている
このように、単独での活動に固執せず、各分野の専門団体と協力しながら効果的な支援を行っている点は評価できます。
まとめ:テラ・ルネッサンスは信頼できる団体か

総合評価
本記事で検証してきた内容を総合すると、テラ・ルネッサンスは以下の点から信頼できる団体であると評価できます:
- 法的信頼性:認定NPO法人として厳格な審査をクリアしている
- 情報公開:財務情報や活動報告を詳細に公開している
- 第三者評価:外部からの評価や受賞歴がある
- 活動の継続性:20年以上にわたり継続的に活動している
- 現地との関係性:現地NGOや地域コミュニティとの協力関係が構築されている
「怪しい」という声の多くは、NPO法人一般に対する不信感や情報不足から生じているものが多く、テラ・ルネッサンス固有の問題点を指摘するものは少ないようです。
寄付や支援を検討する際のポイント
テラ・ルネッサンスに限らず、NPO法人への寄付を検討する際は以下のポイントをチェックすることをおすすめします:
- 情報公開の度合い:財務情報や活動報告が適切に公開されているか
- 第三者評価の有無:外部機関による評価や監査を受けているか
- 活動の継続性:一定期間、安定して活動を続けているか
- 具体的な成果:具体的な支援実績や成果が示されているか
- 理念と実践の一致:掲げている理念と実際の活動が一致しているか
テラ・ルネッサンスは上記のポイントをすべて満たしており、国際協力分野における信頼性の高い寄付先の一つと言えるでしょう。
最後に:個人的な提言
私自身、国際協力に関わる中で感じるのは、「遠い国の問題」を「自分たちの問題」として捉えることの難しさです。しかし、グローバル化が進む現代において、世界のどこかで起きている問題は必ず私たちの生活にも影響します。
テラ・ルネッサンスへの寄付は、単に「困っている人を助ける」という慈善活動ではなく、世界の平和と安定に貢献するという意味で、私たち自身の未来への投資でもあります。特に、地雷や紛争といった問題は一国だけでは解決できない課題であり、国際社会全体で取り組む必要があります。
もし国際協力に関心があれば、テラ・ルネッサンスの活動報告会や講演会に参加してみることをおすすめします。実際の活動や現地の様子を知ることで、より深い理解と共感が生まれるはずです。
テラ・ルネッサンスは、「怪しい」どころか、日本の国際協力NGOの中でも特に透明性が高く、信頼できる団体の一つです。今後も彼らの活動を注目し、できる範囲で支援していきたいと思います。
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